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圧迫骨折後の慢性腰痛

しりもちを着いた後に始まった腰痛
【臨床的特長】

 70代女性が胸背部から腰仙部にかけての広い範囲に痛みを訴えている。 4ヶ月前に除雪作業中しりもちをつくように転倒してしまった。 病院で第12胸椎の圧迫骨折と診断され、骨粗鬆症であることも指摘された。 それ以来、みぞおちにお腹が入り込むように背中が丸まったと感じるようになった。腰は何もしていなくとも常に鈍く痛みを発している。
  仰向けで寝ると背中の丸まった部分が布団に当たって痛むため就寝が困難である。 起床時は体を起こすとき激しく痛むために寝起きは爽やかでなくなってしまった。

 

【介入と結果】

  腰椎の前弯は消失し、後弯を呈している。 腰部を反らせる動作で痛みが走る。
1回目の施術直後は、顕著な痛みの軽減はみられなかったが、その翌日に痛みは著しく軽減していた。 3~4回目の施術後に痛みは八割くらいまで軽減した。 臥位から起き上がる動作も随分と楽になり、就寝時、背中が布団に当たることによる不快感もなくなった。

 【考察】

  第12胸椎、第1腰椎は圧迫骨折の好発部位であり、骨粗鬆症では高頻度に合併することが知られています。
 転倒などの強い衝撃が加わらなくても、骨粗鬆症のように骨密度が減少している人は、日常生活活動の重力負荷で自然に圧迫骨折が進行していくことがあります。 骨折直後の急性期の痛みの期間は安静でいることがもちろん必要ですが、骨折治癒後は骨盤帯を含めた関節機能を改善させることが痛みの緩和のために必要になります。

 脊柱全体の姿勢を考慮しながら背骨の柔軟性を回復することは、自然に進行する圧迫骨折の予防になると考えています。骨の変形は同じところにばかり負担がかかるから起こるのです。
 身体のバランスを調節する中枢である前庭神経核の活動は、筋肉や関節からの感覚入力に依存しています。背骨をはじめ、体中の筋肉や関節を正常に保つことは、転倒防止の助けになるとも考えています。

MEMO:

dis-easeとは、「くつろぎ」、「調整」、「適応」の欠如した生体の状態を言います。diseaseは特定の徴候と症状の表れたいわゆる「病気」のことです。カイロプラクティックでは、dis-easeのことを「前病気段階」と呼び、病気になる前のこの段階でのケアが最も重要であることを強調しています。

症例:

椎間板障害から起こる坐骨神経痛

 

梨状筋症候群(殿部の筋肉が坐骨神経を圧迫して起こる坐骨神経痛)

関連痛(坐骨神経痛に似た殿部太ももの痛み)

急性腰痛

坐骨滑液包炎(限局した殿部の痛み)

脊柱圧迫骨折後の慢性腰痛

脊柱管狭窄症(歩いていると生じる腓腹やすねの痛み)

​・知覚異常性大腿痛(大腿前外側の痺れを伴う腰痛)

​・椎間関節症候群(腰の反りの強い人によく見られる腰痛)

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