「ガザの光」を読んで
- ベルワンカイロ
- 5月20日
- 読了時間: 2分
ガザの光 炎の中から届く手紙
リフアト・アルアライール/ほか著 ジハード・アブーサリーム/ジェニファー・ビング/マイケル・メリーマン=ロッツェ₌監修 斎藤ラミスまや=訳 早尾貴紀=解説 -- 明石書店 -- 2025.1
日々、ニュースの見出しだけが飛び込んでくるガザのこと。 でも、そこに暮らす人々の声に耳を傾けると、私たちと変わらぬ日常、家族、希望があることに気づかされます。 この本には、そんな声が丁寧に綴られていました。
読後に残ったのは、「いのち」と「つながり」への深いまなざしです。
ガザの人々は、武器を手にしていません。 それでもなお、彼らの「絆」は国家にとって脅威とみなされ、断ち切られようとしているのです。
なぜ、至る所に検問所を設けて移動を制限するのか、なぜ、図書館が破壊され、通信が遮断されるのか?
ふと、ユダヤ人でありながらシオニズムに批判的な思想家ジュディス・バトラーの本を読んでいて、感じたことを思い出しました。「ユダヤ人を結びつけているのは、“ひとつである”ということではなく、“分かたれている”という経験なのだ」と(短絡的な解釈かもしれませんが)。
どうして、物理的手段でもって、彼らのアイデンティティを破壊することなどできるでしょう。
パレスチナ人もユダヤ人も、「民族」ではなく「いのち」として見たとき、そこには何か、共通するものがあるのではないでしょうか。そこにこそ、一縷の希望があるように感じます。
