なぜ悪人が上に立つのか
- ベルワンカイロ
- 7月10日
- 読了時間: 2分
なぜ悪人が上に立つのか 人間社会の不都合な権力構造
ブライアン・クラークス(著)柴田裕之(訳)東洋経済新報社2024.10
私たちはなぜ、間違った指導者に惹かれてしまうのか?
権力は善人を腐敗させる――この言葉はよく聞きます。でも、もしかすると権力は最初から悪人を引き寄せているのかもしれません。そしてもっと不可解なのは、私たち自身が、不適切な理由から、不適切な指導者に惹かれてしまっているということです。
本書の中で、ある心理学の実験が紹介されています。子どもたちに複数の人物写真を見せ、「この中で船長にふさわしいのは誰?」と尋ねると、ほとんどの子どもが、見た目が整っていて堂々とした雰囲気のある人物を選びました。もちろん、その人物が実際にリーダーとして有能かどうかは何も示されていないにもかかわらず、です。
この結果は、私たちの中にある「リーダーらしさ」の無意識的なイメージが、見た目によって大きく左右されていることを示しています。つまり、リーダーを選ぶときに私たちが頼りにしているのは、論理ではなく印象なのです。
ブライアン・クラークス著『なぜ悪人が上に立つのか』は、まさにこの問いに迫る一冊です。なぜ権力の座に悪人が就くのか。権力と人格の関係とは。そして、どうすればより良いリーダーを選び、社会をまっとうに導けるのか――。
この本は、私たち一人ひとりがその答えを考えるきっかけを与えてくれます。
