イスラエルについて知っておきたい30のこと
- ベルワンカイロ
- 5月1日
- 読了時間: 2分
イスラエルについて知っておきたい30のこと
早尾貴紀(著)平凡社2025/2
私たちは、ついパレスチナ問題をユダヤ教とイスラム教の宗教対立として捉えてしまいがちです。しかし実際には、「シオニズムの父」とされるモーゼス・ヘスもテオドール・ヘルツルも、ユダヤ人という民族のルーツや文化に強い誇りを持っていたものの、敬虔なユダヤ教徒ではなく、むしろナショナリスト=シオニストでした。これは、現イスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフにも共通する姿勢です。
つまり、シオニズムをユダヤ教と同一視するのは適切ではないという点が、非常に重要なポイントのようです。著者は、シオニズムとはヨーロッパにおける植民地主義・人種主義・国民国家主義という三つの要素が融合したイデオロギーであると位置づけるべきだと主張しています。
本書『イスラエルについて知っておきたい30のこと』は、日本の一般的な報道では語られにくい視点から、パレスチナとイスラエルの歴史的背景や現在の状況を、明快かつ平易に解説してくれます。「どうしてイスラエルは、あんなにも残酷なことをパレスチナ人に対してできるのだろう?」「どうして国際社会(日本も含む)は、それを容認してしまっているのだろう?」と、少しでも疑問を抱いたことのある人にとって、本書はその問いに対する重要なヒントを与えてくれます。
